嵐山光三郎の「人妻魂」という本を読んだばかりでしたので
文豪の墓参りをしながらその奥さんに思いを馳せました。

永井荷風は相当女遊びをしながらも生涯独身でしたが

小泉八雲の奥さん、小泉セツは仲良くお隣に埋葬されていました。
英語教師として日本に来たラフカディオ・ハーンは当時高級取りだったため、住み込みお手伝いさんを募集し「どうせなら武士の娘を」などと図々しいことを言った挙句にセツさんが来たそうなんですが、最初お手伝いのつもりがあっという間にセツさんの魅力の虜となり結婚して尻に敷かれながら幸せに生涯を送ったそう。

こちらは泉鏡花の墓石。泉鏡太郎(これが本名だったのか…)という名前も一緒に刻まれていました。
泉鏡花が9歳のときに亡くなったお母さんもすずさん、奥さんもすずさんという名前だったそう。
バイ菌恐怖症の病的に神経質な泉鏡花に仕えた奥様は立派です。

さて、お次はモテモテ竹久夢二。
こちら本名は実は茂次郎。故郷では「もうさん」と呼ばれていたようでこのもっさりとした名を改め夢二と名乗ったそう。モテルには名前も大事なのね。
お墓のお隣に竹久夢二の説明書きがあるのが親切です。

文豪墓の中で一番大きかったのはさすが夏目漱石!
奥様鏡子さんもご一緒でした。
悪妻の代表のように言われる鏡子さんですが、実は大変な良妻。
夫のために大食いや美食家や酒癖の悪い漱石の門下生の食事の世話から6人の子供の世話、癇癪持ちの漱石の相手をしたりと実にすばらしい奥さまぶりだったそうです。

最後、こちらは島村抱月の墓。早稲田大学の教授であり評論家でもあった当時の知識人。

この人が15歳下の女優松井須磨子にメロメロになり彼女に宛てたラブレターがチョーウケル(柳原可南子風)
これは渡辺淳一著「キッス・キッス・キッス」という文豪のラブレターを集めた本に載っているのですが、このタイトル自体、島村抱月が須磨子宛に書いたラブレターの末尾
「まあちゃんへ、キッス、キッス。」からとられたもの。
墓石には何やら難しい辞世の句のようなものが刻まれていましたが、私はどうしても彼が書いたあまりにもコッテリとしてちょっと怖い(あなたのにおいのついたハンケチをくださいな、とかも書いてある)ラブレターが思い出され
また絶対に離婚に応じなかった正妻の市子さんを思うと極めて複雑な気持ちになったのでした。